山粧う
米沢市白布温泉と福島県裏磐梯をつなぐ西吾妻スカイバレー。錦平(にしきだいら 標高1800m)では、アオモリトドマツ、コメツガなどの針葉樹を中心とした原生林が広がり、西吾妻山や西大嶺の山並みが見渡せる。紅葉は山から山麓へ駆け下りていった。落葉した木々が広がる晩秋の眺めだ。
標高920m天元台ロープウェイ湯元駅は紅葉が見頃。標高1350mのしらかばリフト付近では、ダケカンバ、ナナカマド、ムシカリなどが色づき、青空に映える。
大凹(おおくぼ)は、木歩道が整備されている。花の季節には、チングルマ・イワイチョウ・アオノツガザクラ・ヒナザクラなどのお花畑となり、池塘群の中にワタスゲが風にゆれる。西吾妻山の鞍部だ。大凹を風が吹き抜け、ガスがかかる。つかの間の晴れ間、草紅葉に染まる大凹が現れた。自然の驚異を感じつつ、大自然の脅威が心をよぎる。
秋の味覚
秋たけなわ、旬のごちそうをいただく。
食用菊「もってのほか」は茹でるとき酢を少し入れると、鮮やかな紅紫色に変わる。しゃきしゃき感とほろ苦さがある。
山では栗などの木の実も、アケビなどの果実も山の住人クマ達の食べ物だ。今年もブナの実が凶作といわれ、クマの出没が相次いで報告されている。わずかに残っていた山のアケビは後で採ろうとすると場所がわからなくなるので、見つけたらすぐ採るのだそうだ。
毎年山に入って、お目当てのきのこを収穫するベテランがいる。子供の頃から父親や大人と一緒に山の中に入っていたそうだ。マスタケにマツタケ、サクラシメジはアカキノコとも呼んでいる。春になるのを待ちかねて山菜を採り、秋にはキノコと豊かな山の幸が並ぶ。毒のあるもの食べられないものなどの知識がしっかりと身についている。
傘裏が網目になるアミタケは茹でるとぬめりが出る。イクジとも呼ぶ。ナラタケはオリミキとも呼び親しまれている。倒木に真っ白く群生しているブナハリタケ。独特の甘い香りで今年も楽しむ。
ホウキタケはマツヤマとも呼んでいる。ムラサキシメジは茹でても紫色は消えない。山からいただく物も一つ一つに手がかかる。
昔から山のものは貴重な食べ物とされ、無駄にせず蓄えたりありがたくいただいてきた。海から遠く、山に囲まれた雪国の生活なればその暮らしの知恵と伝統が積み重ねられてきたと言える。