海と共に
岩手県北部 洋野町種市の海岸に朝日が昇る。やがて海は青く輝きだして「ウニ増殖溝」と呼ばれる溝が掘られた遠浅で漁をする人たちを照らした。
もともと海岸線に沿って平坦な岩盤地帯が沖まで張り出しているため、何本もの溝を掘って干潮時でも海水が流れ込む構造にして、昆布やワカメが繁茂しやすい環境を造り、ウニやアワビを育てているそうだ。身がぎっしり詰まった高品質のウニが豊富に採れる海は地元の誇りだ。先人が海中の地形を利用して造り出した藻場。その維持管理や、山間部の植樹活動など取り組みが続けられている。
種市の沿岸部最北の集落角浜(かどのはま)は、かつて糠部(ぬかのぶ)郡にしかれていた 四門九戸(しかどくかべ)の制で、その東門(かど)の浜が由来になった地名ともいわれる。
海に向かって龍神を祀る赤い鳥居が立ち、数基の石碑が並んでいる。
説明板には、はるばる海を渡ってくる神様を迎える為の門口で、海と共に生きる人達が、安全・大漁・無病息災を願って建てたものとある。