VICの窓から

2023年2月

残された車輛

 被災し、一部区間で運休が続くJR米坂線。山形県小国町羽前沼沢駅近くの線路上に、一台の車輛が残されているのを見たのは昨年12月中旬。あれから雪に覆われたままの車輛と線路は、1mを超す雪の壁に埋もれた。人々を乗せ、豪雪地帯の四季折々の風景の中を走り続けてきた大切な車輛は、雪が溶けた春には搬出されるのだろうか。山形・新潟県と沿線の各市町村合同で、米坂線早期全線復旧を要望している。

風車

 山形県から秋田県の日本海沿岸 にかほ市や由利本荘市でも風車(風力発電)が見られる。再生可能エネルギーとして風車を利用した発電方法の導入が進められてきた。防風防雪の柵が施されている民家の向こうの山並みに林立して稼働している風車群。風が強く降雪が少なく風況が良好な適地という。さらに秋田沖は、海底までが比較的浅いことから、着床式の洋上風力発電の取り組みが進められている。景観、健康、鳥類・海洋生物などの自然環境、漁業などへの影響が懸念されている。風車建設によって地域はどのように変わっていくのだろうか。地域と共生する再生エネルギーとして、生活環境などに適切な配慮と地域経済効果を目指し、活用促進が図られていく。

 地元の食材を使った珍しい飴。秋田県内のさまざまな特産品が飴で味わえる。
寒い季節や疲れた時などに重宝する小さな一粒には、疲労回復やのどを乾燥から守ったり、集中力向上などの効果があるようだ。

美郷町

 のど飴「龍角散」のパッケージについている下がり藤の家紋は、秋田藩佐竹家の御典医藤井家の家紋で、藤井家によって創製された藩薬が起源という。江戸時代秋田藩の薬園で栽培されていた甘草の苗は、以前から六郷(仙北郡美郷町)で育てられていたという歴史を背景に、美郷町では、休耕田や山林などを有効利用して薬用作物(桔梗、甘草など)の栽培や、薬樹(ホオノキなど)の植樹が行われているそうだ。仙北平野の東側には奥羽山脈が連なり、美しい自然環境の中で、良質な生薬の国内産地の努力が続けられている。

 美郷町は、奥羽山脈に源を発する扇状地で、湧水の郷で知られる。六郷湧水群は、多くの清水(湧き水)があり、それぞれ名前と由来が伝わっている。羽州街道の宿場でもあった六郷。清水は人々の生活や農業用水に利用されてきた。地元では清掃・保全活動に取り組んでいる。豊富な湧水を利用して動物生薬の研究開発も進められているそうだ。

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