梅雨
7月は梅雨明けまで毎日気象情報が気にかかる。天気が急変する。市内全域が真っ黒な雲に覆われ、土砂降りの雷雨になる。
去年(2020)の東北地方南部の梅雨明けは、8月2日頃だった。最上川が昭和42年(1967)の羽越豪雨以来53年ぶりに氾濫したのは7月末。
梅雨の末期に向けて大雨への警戒が呼びかけられている。
山形県は、去年より17日早い梅雨明けとなった。と同時に熱中症警戒アラートが発表された。猛暑日が続く。
気象予測は、オリンピックに向けても安全公平に試合に臨む備えとして大きく貢献している。
気温や湿度など気象の観測とさまざまなデータ解析が続けられてきた。気象情報の提供は、重要な役割を果たしている。
紅花
「半夏一ツ咲き」と言って、この時季咲き始める黄色の花は根元の方から赤色が上がり紅色に変化する。紅花畑の景色が広がる。
エチオピア・エジプトなどが原産地といわれている紅花は、古くから染料・薬用・食用などに利用されてきた。
花弁のもつ黄色の色素には、防虫・防腐効果があることから、黄色の染料で布や紙を染めた。もっとも重要な紅色の染料は、水溶性の黄色の色素分を除き、紅餅にして赤色の色素を発酵させることで鮮やかな紅がとられた。伝統的な神事の装束や豪華な衣装に染め上げられ、また口紅の原料などにも利用された。紅花染は体を温める効果があるといい、肌着など身につけるものにも染められている。
山形県は紅花の代表的な産地となっていて、栽培に適した気象や土壌を背景として栽培方法・加工技術等が伝承されてきた。
最上川に大小河川が流入する村山地方は、朝霧がかかり、朝露のむすぶ地域。江戸時代商品作物の栽培が盛んに行われるようになり、「月山の見えるところには紅花を、見えないところには青荢を植えよ」と適地適作が伝えられてきたという。「最上紅花」は、高品質で最も美しい染料として高く評価された。「ハナ」といえば紅花のことを言ったそうだ。良質の紅花は東北や関東各地の紅花生産地に広域的なネットワークをもつ紅花商人達によって集められ、最上川舟運を利用して北前船で、或いは街道を利用して上方(京都等)の紅花問屋に送られた。商人達は、航海・道中安全を祈る石灯籠などを寺社に奉納している。帰り荷は上方や全国の物資を仕入れ、広い販売網を利用して活発な経済活動を展開していく。
商品作物栽培は、時代変遷の中で、変貌を余儀なくされてきた。明治に入り、安価な紅花の輸入や化学染料の普及などにより、紅花栽培も衰退していく。
長い歴史を持つ紅花。山形県内では現在も紅花生産が行われている。道路・線路沿いに植栽されたり、フラワー長井線のラッピング車両が運行される等、山形の初夏を彩る景観づくりが行われている。