御衣黄桜
置賜さくら回廊のルートにある白鷹町には、エドヒガン・ソメイヨシノなどより遅れて開花する御衣黄(ぎょいこう)桜がある。江戸時代京都の仁和寺(にんなじ)で栽培されたのが始まりとされ、名前の由来は貴族の衣服の萌黄色(もえぎいろ)に近いためといわれる。
古くから知られる珍しい色の桜は、黄緑色や白色の八重咲きの花と同時に赤茶色の葉が出るため、遠くからだとなかなか気付かない。やがて花の中心部から赤みが増してくる。
春の訪れ
寒気が入ったり、寒暖差が大きかったり・・・それでも約束していたかのように春が訪れる。
飯豊山の麓に位置する豪雪地飯豊町中津川地区の雪解けも進む。
山も里もにぎやかな季節になっていく。初物をいただいた。コシアブラとタラノメ。
天ぷらに切り合えに混ぜご飯に。自然の恵みに感謝して東を向いて笑っていただこう。
土人形
酒田市にある「旧阿部家」は、江戸時代肝煎(きもいり)村役をつとめていた住宅で、元禄年間の建築様式や展示されている農具等から庶民の生活を偲ぶ事ができる。この季節になると、座敷に多くの雛人形が飾られる。その多くが庶民生活のなかにあった土人形だ。
ほとんどが庄内地方の方々から寄贈されたもので、今年もさまざまな土人形が寄贈されている。一つ一つ大切に保存されてきた。
京都の伏見人形が日本各地へ伝わり、それぞれの土地に土人形の産地ができたという。恵比寿・大黒・桃太郎などなど、人形には一つ一つに時代背景があり豊富な型と鮮やかな色彩が特徴的、いつの時代も作り手は大切に扱ってもらいたいと願い、親は子の成長を願う。旧阿部家では、広田系土人形(現・酒田市新堀)の型を使った土人形づくりを体験できるそうだ。古くから伝わる生活文化に触れる様々な行事も行われているという。
近代化のなかで、四季の移り変わりの習わしに気づかなく忘れかけていることを思う。
土人形の並ぶ古い家は、歴史・伝承など重要な文化とともにこの土地に生きた記憶を未来に伝えている。